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なぜ映像と音声はズレるのか

映画・テレビ・IT
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動画の映像と音声が不具合でズレるのは、そもそも映像と音声が別のメディアだからです。映像と音声の同期は当たり前のことですから、わたしたちは普段それを忘れがちです。スマホで簡単に動画が扱えるようになって、余計にその忘却が進んだ気がします。視聴者側ならそれで一向にかまわないのですが、製作者がそれでは困ります。今回は映画史を振り返ることで、映像と音声の関係を改めて確認します。

音声のプロでもある自覚

少し前に、室内の撮影にもかかわらず、カメラのガンマイクにウインドジャマーをつけている他社の若いカメラマンを見ました。これは少しでもマイクのことを知っていればありえないことです。ウインドジャマーはマイクの風よけですから、屋外で使用するものです。室内では不要なだけでなく、逆にマイクの感度を下げる遮蔽物になってしまいます。

このカメラマンに足りないのは、自分は音声のプロでもあるという自覚です。

映画やドラマなどの大きな現場でない限り、カメラマンは音声も扱います。中には画の撮影より音の収録のほうに技術を要する現場もあります。機材が発達して、ひとりでも高度なビデオ撮影・動画製作が可能になった分、音声収録やMAも「出来て当然」になりました。つまり、ビデオカメラマンやビデオ編集者は、映像だけでなく音声に関してもプロであることが求められるようになったのです。

にもかかわらず、上記のようなカメラマンを見かけるのは、冒頭に書いた忘却がその背景にある気がしています。

映画に音は不要だった

映像と音声が別のメディアであることは、フィルム時代には誰にとっても自明のことでした。特にサイレント(無声)映画の時代はそうです。

19世紀末に映画が発明されてから1920年代まで、映画には音声がありませんでした。生演奏などと一緒に上映されることもあったので、もう少し正確にいうと、フイルムに音声を記録して映写機で再生するシステムが確立されていなかったという意味です。

映画史的にいうと、この時代は映画の黄金時代です。映画が独自の表現技法を確立したのも、爆発的に大衆に支持されたのもこの時代だからです。当時の感覚でいえば、映画に音がないのは当たり前であり、しゃべる映画(トーキー)が出現したときには「蛇足だ」という声まであったようです。

ちなみに、チャップリンにちょこまか動くイメージがあるのは、映画に音がついたことに関係があります。サイレント時代、映画は1秒16コマくらいで撮影・上映されていました。音をつける際に、それではクオリティが保てないということで、1秒24コマに統一されました。16コマ/秒で撮影されたフィルムを、24コマ/秒の映写機で上映すると、映像は1.5倍の早回しになります。

サイレント映画は、長らくそういう形でリバイバル上映やビデオ化をされてきました。音の早回しと違って映像の早回しは、特にコメディでは、あまり問題にならなかったからです(近年は正しいスピードで上映・放送されるようになってきているようです)。

フィルム時代の常識

音つきの映画が当たり前になってからも、映画がフィルムで上映されていた時代は、一般の人でも映像と音声が別モノであることを体感する機会がよくありました。

当時、1本の映画を映画館で見ると、必ず何箇所か「つなぎ目」を目にしました。映像がジャンプしたり、のりやテープの痕、目印につけた傷が一瞬見えたりすることで、それがフィルム(上映プリント)のつなぎ目だということがわかったのです。なぜ上映プリントに繋ぎ目ができるかというと、重くてかさばるプリントを小巻きに分割して運搬したり、上映中のトラブルで切断した箇所を物理的に修復したりしていたからです。

音声は画と一緒に上映プリントに記録されていますので、画のつなぎ目は音声のつなぎ目でもあります。画のつなぎ目は、一瞬ですが傷や動きのジャンプとして画面に現れ、音声のつなぎ目は、雑音や音飛びとして聴こえます。

当時の観客は、画のつなぎ目が見える瞬間と、音声のつなぎ目が聴こえる瞬間に、タイムラグがあるのを知っていました。これは、プリント上で画が記録されている場所と音声が記録されている場所が、およそ1秒分ズレていることから起こる現象です。

ささいなことですが、原理は知らなくても、映像と音声が別のメディアであることを感じられる現象だったと思います。

フィルム製作の苦労

一方、フィルム時代の映像製作者はずっと、画と音を同時に扱うことに多大な労力を割かれてきました。

ごく一部の特殊なものを除き、昔も今もフィルムカメラには録音機能はありません。同時録音で撮影する場合、音声はカメラから独立したマイクと録音機で収録します。フィルムカメラは機械式ですから、トーキー初期は、大きな動作音をマイクが拾わないようにしたり、録音機とスピードを同期したりするのに苦労したようです。

編集で画と音のアタマ合わせができるよう、各テイクの最初に入れるのがカチンコ(ボールド)です。拍子木が閉じた瞬間のコマと、カチンと音が鳴った瞬間を合わせるわけです。画のフィルムとシネテープという磁気テープを、編集卓でズレないように並行して走らせながら同時に切ったり貼ったりするのは、PCでの編集とは比べ物にならないくらいメンドウな作業でした。

このような苦労は、フィルム製作がアナログ作業であるということ以前に、映像と音声というふたつのメディアを同時に扱わねばならないところに根本的な原因がありました。

いまいちど意識したい

フィルム製作の苦労は、機材の改良やPCの導入で軽減されてきた部分はあるものの、100年近くも続いてきました。デジタル技術の急激な発達によって、たかだか20年ほどで映像製作が革命的に変化したのは、フィルム製作の経験がある者にとっては実に驚くべきことです。そしてもちろん、歓迎すべきことです。

しかし同時に、デジタル技術の急激な発達は、わたしたちに映像と音声が別モノであることをどんどん忘れさせていきます。それは製作者も例外ではありません。だからこそ、いまいちど、それをしっかりと意識することが大切だと思っています。

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