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ステージ収録の基本とマルチカメラのトレードオフ

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この記事は約4分で読めます。

私の舞台撮影の方法を簡潔にまとめてみました。

ステージ収録の基本

撮影位置の基本

普通の劇場やホールは「プロセニアム型」、つまり観客が舞台を「正面から鑑賞する」タイプですから、そこで行われる出し物は正面から見た場合に最も見栄え良く見えるよう(意識的にであれ無意識にであれ)演出されています。

ですから、それをビデオ撮影する場合、メインカメラの位置は客席(後方)中央が正しい、ということになります。

2カメで撮影する場合、寄り(アップ)用と引き(全景)用カメラを2台、センターに並べて据えるのが正解です。

カメラを3台、4台と据える余裕があるのなら、上手や下手に置くことになりますが、舞台に対して角度をつけすぎると、視点の変化が大きすぎて編集したときに違和感が生じる恐れがあります。

また、客席がない場所からの撮影は画的には面白いのですが、舞台の演出意図から外れてしまうことにもなりかねませんので、使うならあくまでアクセントに留めるべきでしょう。

「出し物を演出意図通りにしっかり見せる」という目的から考えれば、センターから極端に離れた位置にカメラを据えることは、できるかぎり避けなければなりません。

参考動画1

この動画ですが、実はセンターから少し外れた位置で舞台を撮影しています。現場入りした時には、ベストポジションに既にスチルカメラマンの立派な脚立が…(笑)。理屈通りにはいかないのもまた撮影、ということですね。

マルチカメラの意味

ところで、そもそも舞台を複数のカメラで収録するのはどうしてでしょうか。

舞台を撮影した最初期の映画を観ると、1台の固定カメラで舞台の全景を写しているだけです。当時はまだ、「編集」や「クローズアップ」というテクニックは発明されていなかったからです。

現在でも、生で観るのなら舞台が遠くても我慢できます。しかし、映像の場合はそういうわけにはいきません。私たちはクローズアップのない舞台映像には耐えられません。

映画やドラマの撮影なら、引きの画と寄りの画を1台のカメラで撮影して、後から編集で組み合わせることができます。しかし、舞台の出し物をはじめから終わりまですべて記録する場合、途中でむやみに撮影位置を変えるわけにはいきません。

舞台を複数のカメラで収録するのは、引きの画と寄りの画を「同時に」撮影するためです。

ですから、舞台収録は必ずマルチカメラでやらなければならないわけではありません。たとえば、ダイジェスト編集することがあらかじめわかっている場合は、使うのはカメラ1台で十分です。また、演劇やライブなどで、リハーサルや複数の公演を「いいとこ取り」して映像にする場合も同様です。

参考動画2

この動画では、たくさんの撮影位置から入学式を撮影しています。これは複数のカメラを使って撮影したわけではなく、1台のカメラを式の場面に合わせて適宜移動させながら撮影したものです。

マルチカメラのトレードオフ

さて、舞台の出し物をはじめから終わりまですべて記録する場合でも、いくつかの条件が満たされれば、三脚に固定した1台のカメラで収録することが可能です。

なぜなら、「編集」は「カメラワーク」で代替することが可能だからです。編集で引きの画に寄りの画をつなぐのは、カメラをスムーズに素早く操作してズームアップすることと、ほぼ同じことです。

その場合の条件とは、以下のものです。

  • ベストな撮影位置が確保できる
  • カメラや三脚の性能が必要十分である
  • カメラマンのオペレート能力が優れている
  • 出し物の内容・見せ場が、あらかじめカメラマンの頭にしっかり入っている

しかし現実問題として、以上の条件をすべて満たすのは困難です。たとえば、最後の条件をクリアするには、優れたカメラマンでも長いカメラリハーサルが必要です。そこで、足りない部分はカメラの台数を増やしてカバーしていく、という考え方になります。

もちろん、カメラの台数を増やすほど撮影コストはかさみます。逆にいうと、上記の条件をできる限り整えれば、カメラの台数を減らして撮影コストを下げることができるということです。つまり、上記条件と撮影コストはトレードオフの関係にあるといえます。

繰り返しになりますが、舞台はマルチカメラで撮影しなければならないと決まっているわけではありませんし、カメラの台数が多ければ良い撮影ができるというものでもありません。大切なのは、コスト意識を持って目的に合った方法を取ることだと思います。

参考エントリ

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