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動画編集のやり方に悩む初心者への13のアドバイス

動画編集 YouTube動画制作
この記事は約9分で読めます。

動画編集とは

基本は単純なこと

動画編集の基本は単純で、撮影した映像を切り取ることと、切り取った断片をつなぐこと、この2つしかありません。

cutという英語は、切り取るという行為も、切り取った断片自体も意味しますから、カットという言葉を使って言い直すと、動画編集とはカットをつなぐことだということになります。

アナログ時代は、編集作業自体が技術的にも物理的にも大変だったのですが、PCの編集ソフトで動画編集が可能になってからは、そのハードルは一気に下がりました。しかし、だからといって編集の本質的な難しさがなくなったわけではありません。

感じること・考えることが大事

昔から「編集のマジック」というような言葉がある通り、映像は編集されることで新しい意味や思いがけない面白さを生み出しますが、それは単純作業によって生じるものではありません。

マジックを生むのは感性やアイディアです。

カットするという作業をもう少し詳しく言い直すと、撮影した映像を「残すもの」と「捨てるもの」に分けることです。そのとき重要になるのは、映像の本質を見分ける目と判断力です。同様に、カットをつなぐとき重要なのは、現実の時間経過に縛られない自由な思考力と構成力です。

次項からは、動画編集で留意すべきポイントを具体的に挙げて考えます。

カットするときのポイント

撮影素材を客観的に見る

初心者に軽視されがちなのが、撮影素材を客観的に見るということだと思います。内容を知っているからという理由で、撮影素材を改めて見直すことなく実際の作業に入るのは、最もやってはならないことです。なぜなら、記憶と記録は別のものだからです。

カメラで記録された映像と音は、脳に記憶された体験とは違います。簡単にいえば、動画には記憶にないものが記録されていたり、逆に、あったはずのものが記録されていなかったりします。ですから、記憶に基づいて動画編集をおこなうのは、目をつむって絵を描くようなものだといえます。

カットするという作業は、映像を「残すもの」と「捨てるもの」に分けることだと書きました。そのためにはまず、撮影素材を客観的にしっかりと見直すことが必要です。

印象的なシーンを切り出す

撮影素材を客観的に見直すと、脳内の記憶が上書きされます。体験の記憶が、カメラが捉えた映像に置き換わります。すると、見終わった映画を反芻するときのように、自ずと印象的な場面が浮かび上がってきます。真っ先に切り出すのは、そういう場面です。

大切なのは、理屈を先行させないことです。映像は感覚に訴えるものですから、まずは率直な印象を大事にすべきです。客観的な目で見て、見終わった後もその印象が残っている映像、それこそが残すべき映像です。

たとえば「出来事全体がよく分かるように、この場面は残そう」という考えは、理屈先行の典型です。「よく分かる」ことに越したことはないのですが、よく分かっても面白くないもの、心に訴えないものを、人はすすんで見ようとは思いません。

もちろん理屈で判断することも重要です。しかし、そもそも私たちは常日ごろ理屈でものごとを判断することのほうが多いので、あえて印象第一ということを強く意識するのは意味のあることだと思います。

一度きりの出来事はほとんどない

「カメラが捉えた決定的瞬間」という惹句はありきたりですが、実際に「決定的瞬間」に出会うことは稀です。めったに起こらない、いわば「一度きりの瞬間」のことを「決定的瞬間」といっているのですから、当たり前ですね。

詩的に考えればどんな瞬間も一度きりなのですが、日常の出来事というレベルでいえば、ルーティンがほとんどを占めているといっていいと思います。同様に、撮影素材に収められた人の行動や会話も、冷静に観察すると、同じことを何度も繰り返していることが多いのに気づきます。

繰り返されている行動や会話は、繰り返しに特別な意味がある場合を除き、編集で使うのは1回で十分です。動画編集に慣れてきて、明確な視点で撮影素材を見ることができる様になると、一見そうは見えない場面も繰り返しの連続であることが分かってきます。

たとえば子供がプレセントをもらうシーンを撮影したとします。イベントとしては一度きりかもしれませんが、「子供が喜ぶ様子」という視点で見れば、おそらく何度も繰り返しその様子が写っていると思います。シャイな子供は、プレゼントを手渡された瞬間よりも、後で包みを開ける瞬間や、一人になった瞬間のほうが、嬉しさを表現しているかもしれません。

長めにカットして後で詰める

動画はふつう、1秒間につき30枚の静止画で成り立っています。つまり、厳密にいえば1秒間に30箇所ものカットポイントがあるということです。プロとしていえば、その30箇所のどこで切るか、つまり1/30秒の長さの違いには意味があるのですが、動画編集に慣れていない段階でそこまで意識する必要はありません。

ただ、カットのタイミングに関しては、なるべく繊細な感覚を持つよう最初から意識したほうがいいと思います。1秒の違いは、動画の印象に作用する大きな違いです。迷ったら少し長めにカットして、つないだときの印象でだんだんと詰めていくのがいいと思います。

迷ったら捨てる

動画編集は部屋の片付けに似ていて、カットを捨てるかどうかで迷うことがよくあります。そういうときは捨てることをオススメします。迷うということ自体、そのカットに重要性を感じていないということです。

「映像は感覚に訴えるものですから、まずは率直な印象を大事にすべき」と上の項目に書きましたが、迷うということは、印象が弱いにもかかわらず別の何かが「でも…」と捨てるのを拒み、かつその理由が自分でもハッキリわからないということです。

動画編集は撮影素材からエッセンスを抽出する作業です。迷ったときに「捨てない」という判断をしていては編集になりません。また、いちいち迷うクセがついてしまうと作業時間がどんどん伸びてしまい、動画編集自体が嫌になってしまいます。

私の経験からいえば、迷った末にカットした映像のことを後から思い出して「ああ、カットしなければよかった」などと後悔するようなことはまずありません。

つなぐときのポイント

内容に差があるカット同士をつなぐ

カットをつないだとき、なんとなくつながりが悪いと感じることがあります。その理由で一番多いのが、つないだカットの内容にあまり違いがないというものです。

たとえば、ある人物のカットに同じ人物のカットをつなぐ場合、人物のサイズやアングルがはっきり違うカット同士ならばいいのですが、そうでない場合は違和感を感じます。これはなぜかというと、そのつなぎに必然性が感じられないからです。

私たちは動画を見るとき、無意識にではありますが、カットの切り替えに必然性を求めています。だから意味が感じられないカットつなぎには違和感を感じるのです。サイズやアングルが違えば「視点の切り替え」のためだと納得できます。

ですから、寄りのカットには引きのカットといった具合に、カットをつなぐときはなるべく内容に差があるカット同士をつなぐのが基本となります。

リズムやテンポに気をつける

動画は音楽同様、リズムやテンポが大事です。ただ、音楽と違い、動画のリズムやテンポには基本的な形式やパターンがあるわけではありません。あくまでも実際に見て、感じるしかないのです。

冒頭に書いたように、動画編集は映像を切ってつなぐだけの単純な作業です。ですから、リズムやテンポが悪いときにやるべきこともシンプルです。カットの長さを変えるか、つなぐ順番を変える。リズムやテンポを調整するには、この2つの方法しかありません。

動画編集は音の編集でもある

カットのつながりが悪いと感じるとき、その原因が音にある場合もあります。

いちばんわかりやすい例が歌や演奏のシーンを短く編集する場合で、曲の構成や切れ目を意識してカットをつながないと到底見られるものにはなりません。同様に、スピーチや会話を短くする場合も、話の内容をよく吟味して編集しないとうまくいきません。

映像と音は一体のものですが、別のメディアでもあります。これは動画を扱う際にとても重要な認識です。画と音は別物であるという意識を持てば、動画編集で可能になる表現の幅が一気に広がります。

カット尻の音を少しだけ次のカットに残したり、逆に画より音を先行させてカットをつないだりという技法は、昔から映画やドラマでよく使われてきました。このちょっとした細工が、カットのつながりにどれほどの影響を与えるかは、実際にやってみるとすぐに分かります。

ストーリーとプロット

ストーリーとは、簡単にいえば「どこで誰が何をしたか」という筋のことで、これを編集で整理して伝えることができれば、視聴者は動画を「わかりやすい」と感じます。しかし、「わかりやすい」ということは「おもしろい」ということとは別のことです。

ストーリーに、いかに面白く語るかという戦略を加味したのがプロットです。つまり、プロットというのはストーリーの再構成です。たとえば、ストーリーをわかりやすく伝えるには出来事を起こった順番に並べるのがいちばんですが、プロットとしてなら結果を先に見せたほうが面白いという場合があります。

「わかりやすい」は基本で「おもしろい」は目標です。私も常に基本を心がけ、目標に向かって試行錯誤しています。

仕上げるときのポイント

一般には、字幕やBGMを入れることまで含めて動画編集と呼ぶことが多いと思います。最後にその2つについて考えます。

BGMは入りと終わりが大事

現在は著作権フリーの楽曲がたくさんありますので、動画にBGMをつけること自体は難しいことではありません。しかし、BGMをつけることで動画の質をランクアップするという観点でいえば、いくつかの大事なポイントがあります。その中でも私がいちばん重要だと考えているのが、BGMの入りと終わりのタイミングです。

入りのタイミングはセンスの問題ですが、終わりのタイミングは音楽編集のテクニックが必要です。といってもそれほど難しいものではありません。たいていのBGMは短いループ(繰り返し)の連続でできていますから、波形を参考にループを増減すれば、自分が狙ったタイミングに曲の終わりを合わせることができます。

字幕は文字数が少ないほど良い

字幕をたくさん入れると、いかにもしっかり作業したという気分になってしまいますが、これには注意が必要です。

外国映画を字幕で見るときのことを思い出していただければわかる通り、私たちが映像を見ながら認識できる文字の数には限界があります。翻訳字幕ならその限界ギリギリまで文字を入れるのは仕方ありませんが、演出のために入れる字幕で同じことをするのは逆効果です。

どうしてもたくさん字幕を入れなければならないときは、フォントの大きさや色・装飾で重要度にハッキリと階層をつける必要があります。これは印刷物やウェブサイトのデザインと同じです。ただ、時間経過とともに過ぎ去っていく動画では、一画面に入れることができる文字情報は圧倒的に少なくなります。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。オンラインでワークショップやコーチングもやっています。お気軽にお問い合わせください。

10ゼミ
【映画・映像・演劇・脚本】の基本を、具体例を挙げながらわかりやすく指導いたします。カメラやソフトの操作方法よりも「表現方法」を知りたい方のためのワークショップです。

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