進化する中国製カメラ
昨年末、中国のメーカーDJIが発売したOsmo Pocketが話題となりました。スタビライザーと一体になった、手のひらサイズの小型カメラです。
中国などの新興メーカーは、こういう個人向けの新しいコンセプトのカメラや、プロ向けの周辺機材に狙いを絞って攻めていますね。
裏を返せば、メインストリームのカメラは、まだまだ日本が強いということでしょう。ただ、それが今後も長く続くかどうかはわかりません。
紹介映像を見ればわかる通り、この Osmo Pocket は、GoProから始まるアクションカメラ(ウェアラブルカメラ)の進化形で、個人がスポーツや自撮りで使うことを想定しています。しかし、GoProが今やテレビの制作現場でサブカメラとして大活躍してるように、Osmo Pocketもプロの現場にすぐ入ってくると思います。
日本製カメラがメインであることは変わらなくても、こういう安価・小型・ユニークな個人向けカメラが、プロの現場と作るモノをどんどん変えていることは確かだと思います。
私が仕事で使っているビデオカメラはSONYとPanasonicの業務用カメラですが、この前の撮影でサブカメラとしてはじめて中国製のアクションカメラを使いました。結局、編集で使ったのはほんの数カットでしたが、よいアクセントになったと思います。
本家GoProの「パッチモノ」として登場した中国製アクションカメラですが、実際に手にしてみると、予想以上にちゃんとしたものでした。撮影条件にもよりますが、ポスプロで色やコントラストを調節すれば、仕事でも使えなくはないレベル。テスト撮影でそう判断して、実戦に投入しました。
当初は「安さ」だけが売りだった中国製品が、年々品質も上げてきていることを、改めて感じました。
個人向けカメラがプロの撮影現場を変える
カメラに限らず、撮影周辺機材も次から次へと安くて小型で優れたものが出てきています。こういう流れは、プロの映像制作現場を、ますます少人数でも可能なものにしていくと思います。
時代は「映像制作のワンオペ化」へ急速に向かっていると実感しています。そして、それはとてもいいことだと私は考えています。
映画撮影でスムーズな移動撮影をするには、以前はドリー(レール式の移動車)やクレーンを使うしか方法がありませんでした。いずれも大掛かりで人手を必要とする特殊機材です。
人的コストをかけずに同じ撮影ができるなら、それに越したことはありません。
撮影・録音・照明といった技術スタッフの分業にしても、クリエイティブな意味より物理的・作業的な側面のほうが大きいように感じます。
もちろん、これは集団や組織が力を合わせてひとつのモノを作るというプロセスを否定しているわけではありません。むしろ逆で、カメラや機材の発達による人的コストの削減は、新しい映像制作のカタチを生みつつあると考えているのです。
ひとりでカンタンにカメラや機材が扱えるようになれば、それ以外の部分で、より濃くクリエイティブな他者とのとのコラボレーションが可能になるのではないか。個人的に、そう夢想しているのです。
さて、現実はどうなるでしょうか。自分の仕事の行方にも大きく関わりますから、期待と不安を持って見つめています。
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