動画制作において、いきなり撮影や編集に取り掛かるのは、地図を持たずに旅に出るようなもの。時間や労力を無駄にしないためにも、動画の構成案(絵コンテ)を作成するプロセスは非常に重要です。
構成案や絵コンテと聞くと、なんだか難しそう、面倒くさいと感じる方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。プロが使うような複雑なものではなく、誰でも簡単に作れる構成案・絵コンテの作り方をご紹介します。
なぜ動画の構成案(絵コンテ)が必要なの?
動画制作を始める前に構成案や絵コンテを作るメリットはたくさんあります。
- 制作時間の短縮: 完成形を具体的にイメージできるため、手戻りが減り、効率的に作業を進められます。
- メッセージの明確化: 伝えたい情報や表現したい世界観を整理し、視聴者に響く動画にするための土台ができます。
- チームとの共有: 複数人で制作する場合でも、共通認識を持ってスムーズに連携できます。
- 予算の最適化: 必要な素材や機材を事前に把握できるため、無駄なコストを削減できます。
構成案・絵コンテの簡単な作り方4ステップ
では、早速具体的な作成方法を見ていきましょう。
ステップ1:動画の目的とターゲットを明確にする
まずは、動画を制作する上で最も大切な、「誰に何を伝えたいのか」を明確にします。
- 目的: どんな動画にしたいですか?(例:商品の認知度アップ、サービスの購入促進、ブランディングなど)
- ターゲット: 誰に見てほしいですか?(例:20代女性、ビジネスパーソン、子育て中のママなど)
- 視聴後どうなってほしいか: 視聴者にどんな行動を起こしてほしいですか?(例:ウェブサイトにアクセスしてほしい、商品を試してほしい、問い合わせをしてほしいなど)
これらが明確になることで、動画の方向性が定まり、構成案を作りやすくなります。
ステップ2:動画の構成要素を書き出す(台本作成)
次に、動画に盛り込む内容を具体的に書き出していきます。これは「台本」のようなものです。
例えば、商品の紹介動画であれば、
- オープニング: 視聴者の目を引く導入部分
- 課題提起: ターゲットが抱える問題点
- 商品紹介: 課題を解決する商品の特徴やメリット
- 使用シーン: 商品が実際に使われている様子
- お客様の声: ターゲット層に響く声
- クロージング: 次の行動を促すメッセージ(CTA:Call To Action)
といった流れが考えられます。箇条書きでも良いので、まずは大まかな流れを書き出してみましょう。
ステップ3:ラフな絵コンテを作成する
いよいよ絵コンテの作成です。「絵を描くのが苦手…」という方も心配いりません。棒人間や簡単な図形、文字だけでも十分です。
準備するもの:
- 紙とペン
- スマートフォンやタブレットのメモアプリ
- スプレッドシート(Google スプレッドシートやExcelなど)
絵コンテに含める要素:
- シーケンス番号: 各シーンの番号
- 秒数(目安): 各シーンのおおよその長さ
- 画面のイメージ: 各シーンで何が映るか(簡単なイラスト、写真、文字など)
- セリフ・ナレーション: 各シーンで話される内容
- BGM・効果音: 使用したい音楽や効果音
- テロップ: 画面に表示する文字情報
A4用紙を数分割したり、スプレッドシートのセルを活用したりして、上記の要素を書き込んでいきましょう。大切なのは、「このシーンでは何を見せて、何を伝えるか」を明確にすることです。
絵コンテの例(スプレッドシートの場合)
シーン番号 | 秒数(目安) | 画面のイメージ | セリフ・ナレーション | BGM・効果音 | テロップ |
1 | 3秒 | (手元アップ)スマホの通知がひっきりなしに来る | 「あぁ、今日もやることが終わらない…」 | 焦燥感を煽るBGM | 忙しさに追われる毎日 |
2 | 5秒 | (笑顔の女性)弊社のサービスを使っている様子 | 「そんなあなたに、〇〇サービス!」 | 明るいBGM | 〇〇サービスで、あなたの日常をサポート |
3 | 10秒 | サービス利用者の声(テロップと写真) | 「おかげで時間に余裕ができました!」 | なし | お客様の声:Aさん(30代女性) |
4 | 7秒 | サービスの特徴をアニメーションで説明 | 「直感的な操作で、誰でも簡単に使えます」 | ポップなBGM | 簡単操作、充実機能、24時間サポート |
5 | 5秒 | サービスサイトのURLとQRコード | 「今すぐ無料体験!詳細はウェブサイトへ」 | なし | 今すぐ無料体験! [URL] [QRコード] |
ステップ4:見直しと調整
絵コンテが完成したら、一度客観的な視点で見直してみましょう。
- 視聴者目線: ターゲットにきちんとメッセージが伝わるか?
- 流れの自然さ: シーンの繋がりはスムーズか?
- 尺の確認: 全体の長さは適切か?(長すぎないか、短すぎないか)
- 情報の過不足: 伝えたい情報が漏れていないか、多すぎないか?
チームメンバーや知人に見てもらい、フィードバックをもらうのも良い方法です。
まとめ
動画の構成案(絵コンテ)は、動画制作を成功させるための羅針盤です。難しく考える必要はありません。今回ご紹介した簡単なステップを踏むことで、誰でもクオリティの高い動画制作の第一歩を踏み出せます。
ぜひ、次回の動画制作から構成案・絵コンテ作りに挑戦してみてください。きっと、あなたの動画制作がよりスムーズで効果的なものになるはずです。
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