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面白い会社案内ビデオの作り方

会社 動画マーケティング
この記事は約6分で読めます。

面白い会社案内ビデオを作るための大切なポイントは何でしょうか? 私は情報の見える化に尽きると思っています。本文で順を追って具体的に説明します。

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面白くない会社案内ビデオ

見られなければ意味がない

私は以前、ウェブサイトをそのまま動画にしたような会社案内ビデオを見たことがあります。再生してすぐに、内容に興味が持てなくなり、情報がまったく頭に入ってこなくなりました。理由は、面白い面白くない以前のことでした。動画の情報が多すぎてついていけなかったのです。

ウェブサイトは閲覧者のペースで見ることができますが、動画はそういうわけにはいきません。動画は再生したら勝手に進んでいってしまいます。視聴者が動画を巻き戻して見直すことはまずありません。視聴者が停止ボタンを押すのは、もう見たくないと思うときです。情報過多、詰め込みすぎは、視聴者にもう見たくないと思われてしまう最大の原因です。いくら情報を詰め込んでも、視聴者に見られなければ、それは単なる自己満足に過ぎません。

多すぎる言葉にうんざり

この場合の情報とは言葉のことです。動画における言葉とは、視聴者に読んでもらう字幕と、聞いてもらうナレーションやインタビューなどのセリフ、この2つのことです。

上で例に挙げた会社案内ビデオは、恐ろしく饒舌なものでした。とにかく言葉が多いのです。まずうんざりしたのは字幕の多さでした。

そのビデオは、ウェブサイトにある会社組織図を、そのまま一画面で見せるシーンから始まります。大企業ではありませんでしたが、いくつも営業所や工場を持つ会社です。そんな会社の組織図は数秒で読むことなどできませんし、逆に長く見せられたら苦痛でしかありません。

動画はウェブサイトではない

ウェブサイトにはたくさんの文字情報を載せることができますが、動画にそれは無理です。ですから、動画では字幕を厳選する必要があります。

ウェブサイトの場合でも、情報は整理・階層化されていないと訪問者に伝わりません。ふつう会社組織図は、ウェブサイトでも階層の低い場所に置かれるものです。なぜなら、その会社のことをよほど深く知ろうと思わない限り、組織図まで見ようとは思わないからです。

ウェブサイトにおける階層化と、動画制作での取捨選択は、思考としてはほぼ同じものです。違うのは、重要度の低いものを残すか捨てるかです。会社の自己紹介において、会社組織図の優先順位は高くありません。会社案内ビデオなら、少なくとも文字ベースの組織図を使うのは避けるべきです。

冗長な社長スピーチ

その会社紹介ビデオにはもうひとつ、社長のスピーチが非常に長く使われていました。会社の顔である社長のインタビューやスピーチは、会社紹介ビデオの必須項目といっていいと思いますが、これも長く使うのは避けるべきです。なぜなら、まず間違いなく退屈になってしまうからです。

そもそも、会社紹介ビデオに社長が出て話すのは何のためでしょうか? その理由は2つあります。

  • 会社の顔として理念を語るため
  • 映像から伝わる人柄でその言葉にリアリティーを持たせるため

どちらも、無駄に長くすると逆効果になってしまいます。理念は簡潔にまとめてこそ刺さります。また、人柄のような言葉で簡潔に伝えられないものを一瞬で伝えられるのが映像のそもそもの特長です。まさに「百聞は一見にしかず」なのです。にもかかわらず長々と見せてしまうのは、まったく矛盾した所業としか言いようがありません。

分かっているのにやってしまう理由

真面目さが起こす悲劇

おそらく、この会社自身もこのビデオを面白いとは思っていないでしょう。にもかかわらず、どうしてこういう会社紹介ビデオを作ってしまうのでしょうか? それには明確な原因があると私は考えています。

それは仕事に対する真面目さが起こす悲劇といっていいと思います。多くの職種で仕事とは結局、言葉のやり取りです。仕事上の言葉のやり取りにおいて、言葉を削るという行為は非常にリスキーです。指示や報告で、あえて言葉を重複させて保険をかけるのが習慣になっている方も多いと思います。その感覚のままビデオや動画を作れば、言葉が過剰になるのは当然だと思います。

意識を変える必要

しかし、それでは会社紹介ビデオは面白くなりません。作ったという実績だけの、人に見られない、人を動かさないものになってしまいます。会社の利益に結びつく訴求力ある作品を作るには、意識を変える必要があります。

情報過多だ、言葉が多すぎるといって、私は内容がスカスカな動画を推奨しているわけではありません。そうではなく、動画を制作するのであれば、何でも言葉で伝えようという姿勢をまず変える必要があるといいたいのです。

情報の見える化とは?

見える化とはシーンを作ること

情報をなるべくビジュアルな方法で伝える。つまり、情報を見える化することで、言葉を削り、厳選し、絞り込む。それが会社案内ビデオを面白くする大原則です。

情報を見える化するということを、もう少し具体的に説明します。動画における見える化とは、シーンを作ることです。言葉での説明を視覚に訴えるシーンで置き換えるということです。

具体的にはどうすればいいのか?

最初に取り上げた会社組織図も、いろいろなやり方で見える化できます。たとえば、ひとつの営業所をピックアップした短いシーンを作り、そこに「他に営業所が〇〇か所」というようなテロップを被せれば、会社の規模感をリアリティーをもって表現できます。

また、社長スピーチですが、理念をもうひと押し訴えたいのなら、社長スピーチを長くするのではなく、たとえば理念を具現している社員の勤務風景のシーンとか、理念を象徴するような製品や設備を紹介するシーンなどを作るべきです。シーンのバリエーションは他にもたくさんあります。

社長の人柄をもっと描きたいのであれば、執務風景や社員との交流シーンなど、いくらでもシーンは作れます。もし予算やスケジュールの都合で新たな撮影が無理な場合でも、過去の写真や記録映像のストックは広報部などにいくらでもあるはずですから、そういう物を利用すれば可能です。

間違った見える化

見た目にこだわることではない

ただし、気をつけなければならないのは、間違った見える化です。見える化を「見た目にこだわること」と誤解すると、会社案内ビデオは面白くならないと思います。最後にこの「間違った見える化」について触れたいと思います。

内容と飾り

たとえば今は画面に様々なエフェクトが簡単にかけられます。字幕の出し方ひとつをとっても、凝ったデサインやアニメーションが可能です。エフェクトやテロップに凝ることでテレビっぽい画面にすることができます。そういう手段で視聴者の注意を引くのもひとつのやり方です。しかし、そういう効果はあくまで「飾り」なのであって、動画の「内容」ではありません。

また、ビデオがデシタル化して以降、いわゆる映画っぽい画面がかっこいいという感性が生まれました。撮影で被写界深度を浅くして極端に背景をぼかしたり、グレーディング(色調整)で暗くて黄色っぽい(もしくは青っぽい)色にしたりするのを「映画っぽくてかっこいい」と感じる感性です。もちろんこれ自体はまったく問題ないのですが、しかしこの「映画っぽい画面」も「テレビっぽい画面」と同じで、動画の内容ではありません。

本末転倒

動画の見える化とは、シーンを作ることです。シーンを作るとは動画の内容を作ることであって、動画を飾り立てることではありません。飾り立ては内容ありきのものであって、内容を飾りでごまかすのは本末転倒です。間違った見える化は、料理でいえば、調理をないがしろにして盛り付けにばかり力を入れるようなものです。

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