動画の撮影・編集が簡単になったことで、会社や学校の紹介動画を任されたり、お店のPR動画をご自身で作ったりする方が、近年急激に増えているようです。
しかし、いざ動画を作ってみると、周囲の評判も芳しくないし、自分でも出来に満足いかない。中にはそんな苦い経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このエントリではそういう方のために、紹介動画を面白くするためのテクニックについて解説いたします。
ポイントは構成にあり
カメラやアプリの使い方をいくら勉強しても、それだけで面白い紹介動画は作れません。逆に、「本当に大切なこと」さえ理解していれば、スマホの一発撮りでも素晴らしい動画を作ることができます。
では、紹介動画にとって「本当に大切なこと」とは何でしょうか。それはズバリ「構成」です。動画の良し悪しは構成によって決まるといっても過言ではありません。
動画制作にはまずカメラやアプリが必要なので、それらを使いこなすということにばかり意識が向いてしまいがちです。しかし、だからといって本来最も重視すべき構成を軽んじたり、後回しにしたりするのは本末転倒です。
面白い紹介動画を目指すなら、高価な機材を揃えて使い方を勉強する前にまず、構成について学び、考える必要があります。
動画の構成とは何か
では、動画の構成とは何でしょうか。それは、一言でいうとシーンを並べる順番のことです。一見カンタンなように聞こえますが、そうではありません。なぜなら、順番を決めるには目的と基準、まずこの2つをハッキリさせなければならないからです。
例えば、学校でクラスの生徒を順番に並べるときのことを想像してみてください。順番を決めるには基準が必要です。名前の五十音順とか、身長順とか、基準はいくらでもあります。ですから、どの基準を採用するかは、目的がハッキリしていないと決められません。もし名簿を作るなら五十音順が公平でしょうが、朝礼で整列させるなら身長順が合理的でしょう。
これは動画の構成でも同じです。構成を考えるにはまず、動画の目的、つまりテーマを明確にしなければなりません。そうしないと、最初に何を見せ、その次に何を見せ、更にその次に何を見せ…、というシーン(場面)の順番を考えることができません。
動画構成の基本をまとめると、以下の通りです。
すぐ使える3パターンの構成
紹介動画の場合、会社・店舗・学校の紹介が目的ですから、テーマは最初から明確です。では、どういう基準でシーンを並べていくのがよいのでしょうか?
紹介がテーマの場合、すぐ使える構成の基準は3つあります。組織・空間・時系列です。もう少し詳しく説明すると、以下の通りです。
わかりやすくするため、それぞれ構成例を書いてみます。
- ナレーション「A高校はビジネス・進学・特別進学の3コースに分かれています…」
- インタビュービジネスコース主任教諭
「ビジネスコースでは特にICT教育に力を入れています…」 - インタビュー進学コース主任教諭
「進学コースでは…」 - インタビュー特別進学コース主任教諭
「特別進学コースでは…」 - ……
- ナレーション「B社の工場では搬入・管理・出荷に最新の設備を導入しています…」
- ナレーション「搬入システムは遠隔管理されています…」
- ナレーション「管理システムは…」
- ナレーション「出荷システムは…」
- ……
- ナレーション「C店の1日をご紹介します…」
- ナレーション「朝7時、まず店内の清掃をおこないます…」
- ナレーション「次に商品チェックをおこないます…」
- ナレーション「9時になったら…」
- ……
これら3つの基準を適宜組み合わせれば、とりあえず紹介動画を構成することができます。しかし、これらはあくまで構成のベースであって、構成を面白くするものではありません。
動画の構成を面白くするには、ベースだけでなく「プラスαのテクニック」が必要です。それをマスターすれば、紹介動画は格段に面白くなります。紹介動画が面白くなれば、それはもう集客・PR動画だということです。
初心者の壁
ところが、「プラスαのテクニック」をマスターするには、ひとつ大きな問題があります。テクニックのマスター自体が難しいということではありません。テクニック以前にまず考え方を変える必要があり、それが初心者の方にとってはなかなか難しいということです。
この「考え方」は、「プロの思考法」と言い換えてもいいもので、一旦身につけば難しいものではありません。しかし、多くの初心者の方に動画制作をお教えしてきた経験からいうと、「初心者の思考法」と「プロの思考法」には「壁」があるようです。
私たちは出来事を「いつ・どこで・だれがなにをする」という形で認識します。これはそのまま、前項で紹介した「時系列・空間・組織」に対応します。これが「初心者の思考法」です。
それに対して「プロの思考法」とは、別の角度から対象を見ることです。別の角度とは、一言でいえば因果関係です。因果関係とは「原因と結果の関係」のことです。
私たちは事物の原因や結果を知りたいという欲望を持っています。ですから、それらを知って関係性が腑に落ちたときに喜びを感じます。因果関係は「面白さ」のタネなのです。
しかし、一口に因果関係、原因と結果の関係と言っても、よくわからないと思います。事物の因果関係は、どうやって見たらいいのでしょうか。それにはカンタンで良い方法があります。
マジックワードで思考する
因果関係を見るには、2つの言葉を唱えるだけで十分です。それは「なぜなら」と「だから」です。この2語は、少し大げさにいえば、「プロの思考法」を身につけるためのマジックワードです。
「なぜなら」と「だから」は、真逆のベクトルを持つコトバです。「なぜなら」は原因・理由を導きます。その逆に、「だから」は結果・帰結を導きます。
動画を構成する要素すべてに、この2つのコトバをくっつけてみてください。一気に思考が広がり、構成が膨らみ、面白くなる予感が押し寄せてくるはずです。
試しに、上で例示した構成にマジックワードを付け加えてみましょう。
- ナレーション「A高校はビジネス・進学・特別進学の3コースに分かれています。だから…」
- インタビュービジネスコース主任教諭
「ビジネスコースでは特にICT教育に力を入れています。なぜなら…」 - ……
- ナレーション「B社の工場では搬入・管理・出荷に最新の設備を導入しています。だから…」
- ナレーション「搬入システムは遠隔管理されています。なぜなら…」
- ……
- ナレーション「C店の1日をご紹介します…」
- ナレーション「朝7時、まず店内の清掃をおこないます。なぜなら…」
- ナレーション「つぎに商品チェックをおこないます。なぜなら…」
- ……
いかがでしょうか。アタマさえシフトチェンジできれば、動画の構成はそれほど難しいことではありません。慣れてくれば、構成を考えるのは苦しくとも面白い作業になります。
作るほうが面白いと思わなければ、見る方が面白く感じるわけがありません。ぜひ「初心者の壁」を打ち破り、面白い紹介動画を制作してください。
さらに学びたい方は、ぜひオンライン講座をご検討ください。受講者さまおひとりおひとりの課題に寄り添ったレクチャーやコーチングをご提供いたします。
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