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「百聞は一見にしかず」が間違っている理由─動画編集構成の基本

YouTube動画制作
この記事は約6分で読めます。

「百聞は一見にしかず」ということわざは、動画制作においては間違っています。その理由がわからないとしたら、作り手としてかなり問題があります。

「百聞は一見にしかず」とは「百回聞くより一回見るほうがよくわかる」という意味です。ですから、いかにも動画にぴったりのことわざに聞こえます。

しかし、よく考える必要があるのは、「わかる」という言葉のほんとうの意味です。この場合の「わかる」とは、いったいどういう状態を指しているのでしょうか?

この「わかる」の意味がわかっていないと、動画の編集構成は、絶対に上達しません。なぜなら、それは動画というメディアの根本に関わるからです。

この記事では、「百聞は一見にしかず」がなぜ動画制作には当てはまらないかというお話を足がかりにして、動画編集構成の基本について簡潔に説明します。

見るだけではわからない

『「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、動画で説明すれば、文章や画像よりわかりやすいですよ』

こういう表現で「動画マーケティング」をすすめるサイトを見たことがありますが、私に言わせれば、これは完全なミスリードです。

例えば「お餅」について、「日本のことを全く知らない、文化が全く違う国の人」に説明するとします。そういう場合、ただ見せるだけでは「それは何か」は絶対に伝わりません

それがお餅と呼ばれるもので、餅米をついてこねて作った食べ物で、日本人は昔からおめでたい時に食べるんだということは、言葉でしか伝えることができません。

味や食感もそうです。もちろん食べてもらうのが一番早いのですが、それができない場合は、言葉で伝えるしかありません。

「それは何か」というのは、「意味」と言い換えることができると思います。モノやコトの基本的な意味は、見るだけではわかりません。意味を理解するには言葉が不可欠なのです。

ですから、このことわざを援用して動画のメリットを説くのは、非常に誤解を招く行為だと言わざるを得ません。

「百聞は一見にしかず」のほんとうの意味

では「百聞は一見にしかず」ということわざを、動画制作者はどう理解すればいいのでしょうかか。

お餅の例で言えば、原料・食習慣・味は聞かなければわかりませんが、形・大きさ・色といった外見や、どれくらい伸びるかといった特徴は、聞くより見るほうが圧倒的によくわかります。

つまり、このことわざは本来「聞くより見るほうがリアルにわかる」ということを言っているのだと思います。意味を伝えるには言葉が必要ですが、「より体験に近いリアルさ」という点では言葉は映像に敵いません。

お餅を「わかる」には、お餅をついたり食べたり、つまり体験するのが一番です。でもそれができないときは、言葉だけではなく、こうやって作るんだよとか、こうやって食べるんだよとかを映像で見せることで、「リアルにわかる」わけです。

動画が優れている点はそこです。

「わかる」ということのベースはあくまで言葉ですが、そこからさらに「リアルにわかる」「体験に近い形でわかる」ための手段として、動画は非常に優れているということなのです。

動画は言葉と体験の中間にある、そういういう言い方もできるかもしれません。

構成の基本は言葉

以上の考察から言えるのは、動画編集構成の基本は言葉であるということです。

編集アプリを使えば、動画編集は誰にでもできます。しかし、ただ闇雲にカットを繋いでも面白くならないことは、少しでも経験があれば誰にでもわかることです。

編集アプリが使えることと、動画編集ができるということは、実はまったく別のことです。これは、日本語がわかることと、よい文章が書けるということが全然別であることに似ています。

カットとカットが意味を持って繋がるように編集できなければ、真の動画編集とは言えません。意味を伝えるのは言葉です。つまり、動画構成のベースは言葉だということです。

動画での言葉の役割

繰り返しますが、映像に意味のある繋がりを与えるのは言葉です。言葉を用いなければ、映像はバラバラのままでまとまりません。

言葉に注目して動画編集をイメージ化すると、2つのパターンに分けることができます。

ひとつは、団子の串や数珠の糸のイメージで、言葉が映像をつないでいくパターン。もうひとつは、接着剤のイメージで、言葉が映像をつないでいくパターン。

殆どの動画は、このいずれかのパターンで成立しています。

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では具体的に、「動画で使われる言葉」というのは何かというと、以下の3つです。レポーターはナレーターが画面に出てきたものと解釈できますから、ナレーションに含めました。

  • ナレーション(レポーター)
  • 字幕
  • インタビュー

この「3種類の言葉」をどう使いこなすか。それが動画編集構成の基本であるといっても過言ではないと思います。

インタビューが動画のレベルを決める

この「3種類の言葉」中でいちばん大事なのはインタビューです。インタビューがうまく使えるかどうかで動画制作の腕が決まる、と言っても過言ではないと私は思っています。なぜなら、インタビューはいわば一石二鳥な手法だからです。

  1. 映像をつないで構成する
  2. 当事者が伝えるというリアル

1は言葉としての役割であり、2は映像が持つ最大の利点です。このふたつを同時に担えるのはインタビューしかありません。

ただし、動画編集でインタビューをうまく使うには、当然ながら、よいインタビューを撮影することが前提条件です。そのためにはまず、インタビューには2種類あるということを理解する必要があります。

  1. 感想・気持ちを訊く
  2. 説明・解説してもらう

ここで言うインタビューは1ではなく2です。この「説明・解説してもらうインタビュー」を撮ることができれば、「構成しつつリアルに表現する」ことが可能になります。

ただし、そういうインタビューを撮るには、インタビュアーにテクニックが必要です。それは経験に基づく部分が大きいので短くまとめるのは難しいのですが、インタビュアーの心構えについては以前に書いた記事がありますので、よろしければそちらも併せてお読みください。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。さらに学びたい方は、ぜひオンライン講座をご検討ください。受講者さまおひとりおひとりの課題に寄り添ったレクチャーやコーチングをご提供いたします。

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