インタビュイー(インタビューされる人)の目線は、インタビューシーンの印象を大きく左右します。今回は、目線による印象の違いと、現場でどうやって目線を作るかについて考えます。
目線による印象の違い
インタビュイーの目線とインタビューシーンの印象の関係をまとめてみました。
インタビュイーの目線 | 視聴者からの見え方 | 視聴者の印象 |
カメラ目線 | 目線が視聴者を向いている | 語りかけられる感じ (YouTuber型) |
非カメラ目線 | 目線がインタビュアーを向いている | 対話を傍観する感じ (ドラマ型) |
カメラ目線のインタビューは、いわばYouTuber動画に近いイメージです。カメラ目線によってインタビュアーの存在が希薄になり、画面を見ている視聴者からすると、インタビュイーが直接自分に語りかけている感じに見えます。ですから、そういう効果を狙う場合に用いる演出のひとつだともいえます。
インタビューは大別すると、説明・解説してもらうインタビューと、感想・気持ちを訊くインタビューに分けられますが、カメラ目線のインタビューは前者に有効です。たとえば、科学的番組での科学者の解説とか、会社案内ビデオでの社長の語りをインタビュー形式でおこなうような場合は、この目線で撮影するほうが効果的です。
一方、非カメラ目線のインタビューでは、目線の先にいるのはインタビュアーですから、視聴者はインタビュアーが写っていなくてもその存在を強く意識します。したがって、ドラマの会話シーンのように、対話する人物を傍らで見ているイメージを視聴者は抱きます。つまり、非カメラ目線のインタビューシーンは、カメラ目線のインタビューシーンより客観的であるような印象を与えます。
ですので、どちらかといえば説明・解説してもらうインタビューよりも、感想・気持ちを訊くインタビューに適していると思います。インタビュイーが語る感想や気持ち、つまりインタビュイーの内面が、カメラ目線よりも真実味を持っているように見える気がします。
目線のつくり方
演出上、完全なカメラ目線がほしい場合は、レンズかそのすぐ近くを見てもらうしかありません。そういう場合は「レンズを見て喋ってください」「カメラを見て喋ってください」とお願いします。ただ、これにはインタビュイーに無駄な心理的負担を強いるというデメリットがあります。特に一般の人は相手を見て喋るのが普通ですから、カメラ相手だと緊張して態度がぎこちなくなったり、話す内容が支離滅裂になってしまう恐れがあります。
ですので、カメラ目線といっても完全なカメラ目線ではなく、ほぼカメラ目線にするのが現実的です。インタビュアーがカメラマンを兼ねる場合は、「私を見て喋ってください」という指示がいいでしょう。しかし、インタビュアーとカメラマンが別の場合は、注意が必要です。インタビュアーがカメラから離れた場所にいるのに、カメラマンの方を向いて喋ってくださいというのは、かなりムリな要求です。
人は反射的に質問者を見ますから、インタビュイーの目線はインタビュアーの立ち位置によってコントロールするべきです。カメラ目線をつくりたいなら、インタビュアーはカメラマンの後ろに位置取りします。インタビュイーは顔を見ますから、もしカメラ位置が低い場合は、インタビュアーもその高さに合わせてかがんだり座ったりする必要があります。カメラマンの後ろではなく脇にぴったり付くのもひとつの方法です。この場合も、インタビュアーが顔の位置をカメラの高さに合わせる必要があります。
非カメラ目線でインタビューをおこなう場合は、ドラマ撮影の要領で、まずインタビュイーとインタビュアーの立ち位置(大抵の場合は「座り位置」ですが)を確定し、それからカメラの位置を決めるのがいいでしょう。
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