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インタビュー動画編集での3つのコツ

インタビュー用マイク インタビュー動画制作
この記事は約4分で読めます。

インタビュー動画制作では、何種類ものカットを撮るようなことはまずありません。したがって、編集にはそれほどテクニックを要さないイメージがあります。しかし、実際はそういう姿勢ではよいインタビュー動画は作れません。今回はインタビュー編集でのポイントを考えます。

人は同じ内容を言葉を変えて繰り返す

「ひとことで短く言うと?」「まとめるとどういうことですか?」

テレビのディレクターで、インタビュイーにこういう質問をする人がいます。これは、自分がインタビュアーかつ映像制作者として失格であることを宣言しているに等しい言葉です。要するにそのディレクターは、インタビューのテーマについて深く理解できない無能か、もとより理解する気もない傲慢な人間かのどちらかだと、自ら告白しているのです。

もちろん、的確な言葉で簡潔に話すのが苦手な人はいます。むしろ、私を含めそういう人のほうが多いのではないでしょうか。人前で話すのを生業としている人でも、喋り慣れない話題だったり、カメラの前だったりすると、そううまくはいかないものです。しかし、そういう話がまとまらない人でもなるべくうまく話せるような質問をするのが、まさにインタビュアーの役目です。自分の質問が下手なのを棚に上げて、相手に話をまとめろなどと指図するのは、まったく失礼な話です。

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ところで、そもそも話がまとまらないというのは、どういう状態を言うのでしょうか。

それは、的確な単語や表現を探りながら、同じことについて何度も繰り返して喋っている状態です。要するに、頭の中で言葉が整理できていないのです。それが自分でもわかっているから、同じ内容を言葉を変えて何度も繰り返し喋ってしまうのです。

逆に話がうまい人は、あらかじめ頭の中で言葉を整理してから話しています。では、言葉の整理とは具体的にどうすることでしょうか。それは作文での推敲同様、言葉を取捨選択し、並べ替えて、内容が伝わりやすい形にすることです。そう考えると、この取捨選択と並べ替えは、イメージとしては動画における編集とまったく同じです。

ですから、インタビュー動画制作の場合は、仮にインタビュイーにうまく話してもらえなかったとしても、素材として十分な言葉の量さえ引き出せていれば、編集によって伝わりやすい形に「まとめる」ことが可能です。インタビュイーの代わりに制作側が編集で言葉を整理できるわけです。冒頭で挙げたディレクターを映像制作者として失格だと言ったのは、この基本的な作業すら回避しようとする怠惰さ故のことなのです。

喋りはじめには間をとる

インタビューシーンの各カットは、インタビュイーが喋りはじめるポイントでカットするのではなく、少し間をとってカットしたほうが違和感がありません。

日常でも、人は話し始める前にはひと呼吸置きます。また聞く方も、そのひと呼吸があったほうが話に入りやすくなります。映像では、視聴者はまずどういう人がしゃべるのか、インタビュイーの姿や表情を認識してから、その人がしゃべることを聞こうという態勢になります。

カットする際にとる間の長さは、時と場合によります。1秒未満でいい時もあれば、1秒以上あったほうがいい場合もあります。インタビューの内容、インタビュイーの話すテンポ、動画全体のリズムなどを総合的に見て、理屈ではなく感覚で判断する必要があります。ですから、インタビューシーンの前で十分インタビュイーが紹介されている場合は、むしろ間がないほうがしっくりくることもあります。

落ち着いた雰囲気で撮影すれば、インタビュアーの語尾とインタビュイーの喋りはじめには十分な間隔ができると思いますが、そうでないときはインタビュアーの音声をカットして画のみで間を作ります。インタビューではバックノイズを極力抑える撮影をしているはずですから、特別な音処理をしなくても違和感はないはずです。

喋り終わりに間は不要

喋りはじめる前とは逆に、喋り終わった後は間をおかずカットするのが正解です。なぜなら、間が次の言葉を期待させ、喋りがまだ続くのではないかという感じを視聴者に抱かせてしまうからです。もちろん、演出的に余韻を残したいときなどは別です。これも、喋りはじめの間と同じく、日常生活の感覚が大事です。

動画によっては、テンポをよくするためにインタビュイーが喋り終わる前にカットしたほうがいい場合もあります。たとえば「将来のためにとてもいいことなんじゃないかと思います」というセリフなら、最後の「思います」を切っても意味はほぼ変わりません。

または、音声を少しだけ次のカットにずり下げるという方法もあります。喋り終わる前に画だけカットし、語尾だけ次のカットに被せるというやり方です。この方法は、ひとつながりのインタビュー素材をダイジェスト編集するときに大変有効です。長いカットの途中途中をつまんでつなげると、映像が飛んだような印象になってしまうことがありますが、音声をずり下げることによってつながりがよくなり、その印象を和らげることができます。

最後に蛇足ですが、この喋りはじめと喋り終わりの間の関係は、顔のクローズアップ撮影の基本、頭を切る(フレームにい入れない)のはOKだが顎を切るのはNGというのにちょっと似ている気がします。いずれも理屈ではなく、人の基本的な感覚に基づいている法則だからです。

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